日本の伝統的な素材やデザイン、哲学に文化。
歴史の中でも世界にインスピレーションを与えつづけてきた日本の独自なスタイルがあります。
そんなジャパニーズスタイルが、また新たな視点で海外から注目されています。
現在、海外から意識される衣食住のジャパニーズスタイルの考え方とは?
ウェルネスブームにみるジャパニーズスタイルとは?
ジャパニーズスタイルが注目されている分野にはどんなものがあるの?
今回は、現在海外に影響を与えているジャパニーズスタイルについて、多角的な視点からお届けいたします。
海外で注目されているジャパニーズスタイルの思想
海外の「衣」への意識とジャパニーズスタイルの思想
現在、世界ではファストファッションの抱える問題への注目があつまっています。
毎日何万トンという量の新品の衣類が後進国に廃棄物として、行き場のないゴミの山となり、低賃金で寝る間も惜しんで働く人々がいます。
本当に大切なものはなにか?
本当に必要な物は何で、自分にとって心地のよい服装とはなにか?
といった問いが世界的にもとめられています。
もともと日本人の思想の中には「贅沢をさけ質素をよし」とする禅思想や、茶道のなかにある侘び寂びの心など、シンプルの中にある美学があります。
よけいな物を取り除き、本当に必要な物を見極める。
日本の断捨離といった不必要な物を手放して本来の自分が必要な物だけを手に入れるライフスタイルは、こんまりメソードを筆頭にいまでは世界的なブームとなっています。
世界のたくさんの人が「シンプルに必要な量だけの衣類をもつこと。」という衣類に対する意識を推進して行く中、日本の禅思想、侘び寂びの哲学はみごとに当てはまります。
海外の「食」への意識とジャパニーズスタイルの思想
一昔前、海外でのジャパニーズスタイルな食といえば、寿司や天婦羅、鉄板焼きが基本でした。
しかし、海外での和食ブームや、日本食のユネスコによる無形文化財指定によって、日本の食の根本的な思想や健康への配慮が注目されています。
現在、世界中で食に対してのありかたが問われてきています。
パンデミックにより自身や家族のための健康のために体に良い食べ方を考え、食のあり方を見直市の重要性や、
この食の飽和時代、廃棄食材問題や食用肉を生産する際に生じる環境問題など、私たちが抱えるべき問題は多岐にわたります。
そんな中、人々はオーガニック食材やグルテンフリー、ベジタリアンにマクロビオティックなど、食に対してのこだわりや哲学をもったライフスタイルを選ぶ人が増えてきました。
そこで、日本食の魅力に注目があつまります。
ジャパニーズスタイルの食の形とは、素材を活かし、油を多く使わず、野菜が中心の米を基本とした献立。
選択する自由のある世界に住んでいる人たちだからこそ、自分の食へのありかたが以前よりクローズアップされています。
日本食のもつ伝統的な調理法や素材に注目が集まり、MISO, AZUKI, TOFOU,にSHOYUなど 日本語のまま海外でも気軽に手に入るようになりました。
海外でもオーガニック食材店に足を運べばほとんどの日本食材の基本は手に入り、日常的にジャパニーズスタイルの食がたのしまれています。
参考サイト
海外の「住」への意識とジャパニーズスタイルの思想
建築の世界におけるジャパニーズスタイルは、日本を超えて海外でも大変人気がります。
日本の伝統建築様式を意識した純和風スタイル、そして、現代生活に合わせてモダンにデザインされた和モダン。
その中でも、和紙や竹など和を感じる素材をふんだんにつかった内装や家具。
日本の住宅の中では一般的だった要素が欧米建築の中に気軽に取り入れられるようになりました。
たとえば、いままで海外の住宅にはなかった横へスライドするタイプの引戸。
ヨーロッパで大変人気が高まり、一般家庭でもリフォームして引戸
に変更する家庭が多くあります。
筆者の住むフランスでも専門の業者に委託する,という方法以外にも大手ホームセンターに足を運べば自分でもドアを引戸に変更することができるほど。
また、畳や障子、布団なども人気がありパリにも畳や布団を取り扱うお店に人気が集まっています。
そして和素材をふんだんに使った人気の家具と言えば、照明器具。
優しい和紙を通した光や、竹素材の照明は海外でも高く愛され続けています。
和紙をつかった照明器具を部屋に置くだけでなんとなく和のテイストが取り入れられるのも人気の秘訣。
現在、ジャパニーズスタイルが注目されている分野
ウェルネスブームにみられるジャパニーズスタイル
ウェルネスブームとは、「総合的に健康的な状態でいられるような行動、選択、そしてライフスタイルの積極的な追求」
• Physical:運動、栄養、睡眠などを通じて健康な体を養うこと。
• Mental:学習、問題解決、創造性などを通して、世界と関わること。
• Emotional:感情的なこと。
自分の感情を自覚し、受け入れ、表現すること、そして他者の感情を理解すること。
• Spiritual: 人間が存在する意味とより高い目的を追求すること。
• Social:社会的 他者や地域社会と有意義につながり、関わること。
• Environmental:地球の健康と人間の行動、選択、幸福の間にある肯定的な相互関係を育む。
とされます。
参考サイト
近年、欧米の富裕層や知識層の間で流行している、ウェルネスブーム。
ウェルネスブームのための産業は、現在最も急成長している市場、といわれています。
その中には数多くのジャパニーズスタイルをみることができます。
たとえば、マクロビオティックなどの食生活のあり方から、精神をより良い状態で保ために注目されている禅体験や武道体験まで。
もともと日本という国は、海外においてとてもよいイメージを持たれている国です。
それは、日本に訪れる人々が体験するおもてなしの精神や、
日本製品のもつ品質の高さ。
そして高度な技術力と深い歴史文化。
ウェルネス思考が目指すよりよいライフスタイルを提案して行く際に、日本の持つよきイメージは素晴らしいモデルとして海外で発案されていきます。
ウェルネストラベルとジャパニーズスタイル
またウェルネスブームを加速させる原因として、コロナ渦から心も体もつかれてしまって、よりよい自分を求める人たちが急増しています。
そんな人たちの間で、欧米ではウエルネストラベルといわれるウエルネス思考をとりいれたパッケージツアーに人気があつまっています。
たとえば、自然豊かな地で禅を体験しながら自分の内面と向き合い、マクロビオティックで体の毒素を排出する料理をいただく。
夜は温泉スパでオーガニックエステ体験。
早朝は自然の中をジョギングそしてもう一度、座禅。
といったツアー。
日本は和食や四季折々の自然風景、そして温泉地が多数あり、八百万の神の住む国。
まさにウェルネス思想を具現化できる国とされています。
このようなことから、アフターコロナにはこのようなウェルネスツアーを本場の日本で体験したい外国人の数が激増することが伺えます。
参考サイト
チームビルディングとジャパニーズスタイル
海外の経営者の間で、社員教育の一環としてよく取り入れられているチームビルディング。
このチームビルディングの中にもジャパニーズスタイルは大変重要な役割をもって提案されています。
多種多様な人材の集まる起業ではそれぞれの能力を巧く勝つようすることが成果につながります。
単なる役職の配置ではなく、相互作用によってそれぞれが持つ能力を十分に発揮する。
そんなチームの団結力や意識の共有をより構築していくためにスポーツやクリエイティブイベントを通してお互いの共存意識やモチベーションを向上目的とします。
このチームビルディングを行う際に注目されているのはジャパニーズスタイルの武道。
空手、柔道、相撲といった日本古来の武道がチームビルディングに最適といわれ、海外からわざわざ日本にチームビルディングを設定する企業もあります。
日本の武道がもつ哲学を体験を通して学んで行く。
そして、相手を敬い礼に尽くす日本の心が、チームの団結をより深めて行くきっかけとして選ばれています。
武道とチームビルディングについての詳しい過去記事はこちらになります。
ホスピタリティ
おもてなしの国、にっぽん。
日本のおもてなし精神は世界から注目があつまっています。
この日本のおもてなしの精神を日本で身につけたいと考えるビジネスパーソンが増えてきています。
日本料理にはすみずみまで行き渡った日本独自の調理思想があります。
外国人経営者たちのための料理教室では、日本文化や食文化を、一、外国人観光客としてあじわうのではなく、よりリアルに体験したいと考える方へむけたもの。
日本料理体験をとおして、日本流のおもてなし、ホスピタリティを体感します。
老舗旅館の女将から学ぶホスピタリティや、お寺で茶道や禅思想からおもてなしを学ぶツアーにも人気があります。
このように日本のおもてなしにスポットを当てた外国人のニーズは尽きることはありません。
これからも日本のホスピタリティは世界から注目をあびつづけていくことでしょう。
おすすめの過去記事になります。
海外駐在員が見たおもてなし|外国人が驚く日本のホスピタリティ
海外の経営者も学ぶ日本のホスピタリティ 体験事例3選と接待方法
今、世界に求められているジャパニーズスタイル
RYOKAN日本風旅館
日本に滞在した多くの外国人が日本で感動した体験の第一にあげるのは、日本の旅館によって提供されるホスピタリティ。
他の国では体験できない旅情感あふれる旅館や温泉宿の魅力に加えて、日本のおもてなしの究極を体験します。
そこに世界のホテル経営者が着目し、RYOKANスタイルのホテルが、今全世界にひろがっています。
フランスのトゥールーズから25分にあるHosomi Ryokan
フランスとは思えないほど徹底して日本の旅館を再現しています。
建築だけではなく、フランスにおいて大変めずらしい行き届いたホスピタリティは、日本の旅館を知らないフランス人の間にも感動の声が上がっています。
世界でも有数の高級リゾート地マリブにあるNOBU RYOKANのコンセプトは、モダンクールラグジュアリーと日本の伝統的なミニマリズムの精神。
世界的なシェフであるノブ マツシタ氏の提供する美食体験も人気があり,世界中のセレブから愛されています。
ストックホルムにあるYasuragi SPA HOTELはストックホルムから車で20分の立地にあり、日本風のゲストルームとスパ体験そして絶景の露天風呂が楽しめます。
行き届いた日本のおもてなし精神は、ウェルネスブームも手伝って大変人気のあるホテル。
ビーガンやローフドなどがたのしめるレストランもあります。
マクロビオティック
日本の食の伝統の中、今更に注目されているマクロビオティック。
日本人の桜沢如一氏が提案した従来の食養に陰陽論を交えた食事方法。
玄米を主食に、豆、野菜、海藻、自然食そして一物全体を取り入れ、日本の伝統食をベースに体のコンディションをととのえます。
身土不二(暮らす土地の旬のものを食べること)
一物全体(自然の恵を残さず丸ごといただくこと)
季節の食材を丸ごといただき、生命のエネルギーを体内にとりいれることで体のバランスが均等を保って行く、という考えです。
海外の住宅様式にみられるジャパニーズスタイル
日本の伝統的な素材の和紙や竹、陶器や白木などを使ったインテリア。
畳や障子、ふすまや床の間といった日本の伝統的な住宅様式をしつらえたスタイルを海外でもジャパニーズスタイルといいます。
生活様式は欧米のままで、和の要素をミックスさせたジャパニーズモダン、和モダンといい、国内外で注目を浴びる住宅設計となっています。
また、ジャパニーズスタイルの中でも禅思想を取り入れた禅スタイル ZEN style。
世界的シンガーソングライターJ.Balvinの豪邸にも取り入れられ話題になりました。
そして、北欧スタイルとジャパニーズスタイルを見事に融合させたジャパンディは、シンプルで機能的な北欧のデザインに日本のミニマリズムをたした新しい住宅様式。
Japanese(日本の)とScandinavian(北欧の)をミックスした造語でJapandiといわれます。
日本の伝統的な和室に見られる必要最低限のものですっきりとした暮らし。
家具は最小限におさえ、布団や座布団など必要な時に取り出す生活様式です。
伝統的な日本住宅では同時に、床の間に花や掛け軸を飾り季節を感じ,お気に入りの工芸品などを大切に使う美へのこだわりもあります。
そして畳や和紙、白木といった天然素材がふんだんにつかわれており、居心地のよい空間になっています。
それに比べ、ヨーロッパの住宅スタイルは長い冬を快適に過ごすために居心地の良さが追求されています。
座り心地のいい椅子やソファー、柔らかいカーペットに重厚なカーテン、落ち着いた間接照明などにあるこだわりはヨーロッパの住宅様式の美点です。
特に、北欧デザインはシンプルで機能的、そして良質な素材とやわらかな色合いは近年世界中で人気がります。
この二つがかさなったJapandi、今後も展開がたのしみですよね。
まとめ
今世界中の人々がライフスタイルを見直す時期にさしかかっているようです。
様々な場面において、生き方について問われる時代。
そんな時、ふさわしい考え方、よりよい生き方の実践として、ジャパニーズスタイルが様々な場面で取り上げられるようになりました。
それは、従来の海外におけるジャパニーズスタイルのように表面的な日本らしさではなく、日本生まれの思想や哲学のなかに何かヒントがあるように人々は耳を澄ませます。
私たちは日本独自のおもてなし文化を世界の人々に広めるために日夜努力しています。外国人ゲストの接待・おもてなしに関するご相談もお気軽にお問い合わせください。