

“Very Important Person”を略してVIP(ヴイ・アイ・ピー)。
「とても重要な人物」という意味の通り、皇族や王族に始まり、国家や地方公共団体の重要人物を指すだけでなく、「企業にとって特に大切なお客様」を指すこともあります。
各ジャンルの著名人や場所やシーンへ特に寄与した人も該当し、対象になる人は特別な待遇が求められるのです。
今回はVIP待遇についてご案内します。
VIP待遇について詳しく知ることができ、参考になるホテルや旅客機などの例とともに、気をつけるべきコツを紹介しますので、VIPのお客様への待遇をするおもてなし術が身につきますよ。
VIP待遇とは?
VIP待遇を考える時に、まずVIPとは一体どんな人たちなのかを知ることが大切です。
こちらでは、VIPについて、そしてVIP待遇について紹介します。
VIPという立場にいる人たち
VIPとは、“Very Important Person”の頭文字をとった言葉です。
「皇族・王族・国家元首・国家や地方公共団体の重要人物」を表すことが多いのですが、「 自社にとって、非常に大切なお客様」という人も含まれます。
どちらもとても重要な人物には変わりがないので、丁重に、そして失礼の無い対応が求められるのです。
VIPという立場だからこその困りごとにもしっかり対応できる待遇が求められます。
VIPでの待遇は何が特別?
VIPのお客様は、重要人物であるが故の忙しさがあり、スケジュールが密に組み込まれている場合が多くあります。
時間の管理や予定の組み込みはとても重要になり、何度も確認が必要になり、くつろぎのある空間の提供も大切です。
常に時間に追われ重要な決断を迫られているVIPの方々が、少しの時間でもリラックスできるような対応を心がけましょう。
個室の確保や、安全性の高さ、融通の聞くスケジュール調節など、企画全体に求められる注意点が増えていくので、事前にしっかりと準備をすることが必要になります。
そして、VIPということもあり、失礼のない対応での接遇が求められます
VIPとセレブの違い
セレブへの対応といったように、VIPと混同されるセレブですが、意味や対象人物が全く違います。
“celeb” 「セレブ」は“celebrity” の略で、意味は有名人、特にすべての動向、行動が騒がれるようなハリウッドスターやスーパーモデルを指します。
有名人なのでお金持ちや富豪層が多く、そこでVIPと混同されがちです。
セレブへの対応は、有名人なのでプライベートを重要視し、有名人だからこそのトラブルを回避するための対応が求められます。
VIPでありながらセレブのお客様への対応は、スケジュール管理とプライベートの確保が重要に。
飛行機から宿泊先、そして食事会場などイベントや仕事以外での時間にも多くの配慮が必要になります。
どちらのお客様も一般のお客さまと違い、配慮するポイントが増えるので、対応についてより深い検討と企画が必要になります。
VIP待遇の例
では実際に、VIP待遇について常に必要に迫られている、飛行機会社、ホテル、政府機関はどのような待遇をしているのでしょう?
こちらでは具体的な例を紹介していきます。
ホテルでのVIP待遇
ホテルのVIP待遇は、アップグレードや何度も宿泊をしているVIP顧客へのサービスといったように、VIP待遇を受けることができる顧客は多くあります。
VIPだけの特権をあらかじめ設定しているホテルも多くあり、該当する宿泊客はもれなく恩恵を受けることができます。
たとえば、何度も宿泊している会員のお客様には、ステイタスのアップグレードが用意されていて、宿泊回数によってサービスの内容が変化していくのです。
内容は同伴者や朝食が無料、有料施設の無料利用、部屋の広さのアップグレードなど、特典が変わってきます。
航空会社でのVIP待遇
飛行機は政府要人から各業界のVIPの人達まで、さまざまなVIPのお客様へ毎日対応しながら運行しています。
ファーストクラスのお客様や、搭乗回数の多くアップグレードされたお客様への対応とは別に、VIP・VVIPのお客様への待遇も常に求められているのです。
VVIP(Very Very Important person)に値する各国首脳や王族や皇族になると、政府特別旅客機を利用する場合が増えますが、大企業の役員クラスや大臣クラスの政治家の方たちへの対応は、VIP待遇として航空会社もさまざまな対応を整えています。
例えば、ファーストクラスの利用はもちろんのこと、スイートラウンジ以上の特別なVIP待合室の用意、スーツを着用したアテンド係による搭乗手続きの優先案内、特別な乗り継ぎのルートや高級車で乗り換え移動など、VIPだからこその待遇が常に用意されています。
VVIPの王族や各国首脳になれば、政府旅客機の使用が中心になり、さらに格上の待遇で航空・空港会社のトップが出迎、見送りも政治家や大使館関係者の対応になります。
そしてSP配属で安全を確保します。
政府機関でのVIP待遇
外務省では国賓客の招聘以外にも重要外国人に対して、さまざまな外国の要人をもてなす場合の基準があり、それを「招待プログラム」と呼びます。
日本の各種政策や文化・社会などの様々な分野で、諸外国の重要人物や機関に理解を深めてもらうことが目的です。
諸外国と我が国関係者との人脈を通じて、外交政策の円滑な推進を図り、中長期的には親日家・知日家層の育成・底上げすることを目指します。
外務省の外国人重要人物へのおもてなしは、国家間の交渉の推進や安全保障の強化,そして政策協調等に役立てることを目標とした接遇になります。
招へいされた外国人VIPには、会議や行事の他、ソシアル・プログラムとよばれる交流が行われ、会議の息抜きや主催者(開催地)の歓迎の意を表すためのイベントが企画されます。
内容は、レセプション、バンケット(夕食会)、エキスカーション(会議参加者による小規模なツアー)などに渡り、こちらも重要な要素としてVIPをお出迎えする側は配慮に努めます。
おすすめ関連記事:国賓・公賓・要人の違いとは?外国人招へいプログラムと接遇事例3選
VIPのお客様が求めていることを受け止める
VIPのお客様は、時間管理がとても重要になります。
相手の貴重なお時間を奪わない配慮も、VIP待遇にとって重要なポイントになるので注意が必要です。
スケジュール管理厳守
海外からのVIPのお客様がご到着の前に、事前確認しておく必要がある注意事項があります。
たとえば、飛行機の到着予定時間を押さえておくことだけではなく、実際に到着した時間や移動の確定などを随時確認する、といったように常にお客様のスケジュールの確認が必要です。
これは分刻みのスケジュールが組み込まれているVIPのお客様への、的確な待遇に不可欠なので、イベントや会議へVIPのお客様を招待した場合には大切にしておきたいポイントです。
この時、スタッフ全体での情報把握も大切です。
現場を動いているスタッフにも必ずVIPのお客様の到着時刻を伝えることによって、スムーズな対応を全体でご用意することができるからです。
現場で直接対応をするスタッフが情報を得ていない場合、どんなに完璧に見えるスケジュール運行でも、実際にはVIPのお客様に直接ご迷惑をかけることが増えてしまいます。
VIPのお客様をお出迎えする場合には、必ず事前にスタッフへの連絡方法も確認しておくことを推奨します。
参照:VIP接遇に必須の 連携プレー【連携に必要なポイント3つ】
ご要望に対応できる接客
「あと10分しか時間がないけれど、あの買い物だけはしておきたい」
「自由時間がないけれど、なにか日本的な体験をしたい」
VIPのお客様の多くは、とにかく時間がありません。
中には、滞在中一度もプライベートな時間がない、というVIPのお客様もいらっしゃるので、そんな時にどういった対応ができるのかが腕の見せ所になります。
たとえば、ソシアル・プログラムに日本文化体験を一緒に楽しんでいただくことを企画すれば、遠方からいらっしゃったVIPのお客様がひとときのくつろぎを感じていただけますし、
なかなか買い物ができないお客様が、短時間でお好みのものを購入できるように事前にセッティングしておくなど、企画によってVIPのお客様への特別な待遇をご用意できます。
この部分は対応する担当者の腕の見せ所でもあるので、しっかり企画を練っておくことが大切になります。
待たさないスピード対応
情報の共有と事前の準備をしっかり行うことで、お客様の貴重なお時間を奪うようなことを避けることができます。
この時大切になるのは「相手の時間軸」を瞬時に理解することです。
時間の感覚は人によってそれぞれ誤差があります。
完全に同調した対応ができることが一番快適になりますが、なかなか難しく、熟練した接客のプロでも難しいといわれます。
しかし、日本人は察する空気が上手い国民。
日常的に相手の思うことを察して動ける人が多いので、日本のおもてなしのクオリティの高さに海外からも称賛があるのです。
相手の時間軸を受け止めながら「どのくらい急いでいるのか?」、そして「今はゆっくりしたいのか?」「ゆっくりしてもいい時間を作れるのか?」といったスタッフの力量も時間の管理にかかっています。
このように、VIPのお客様だからこその待遇には、時間はとても重要なポイントになります。
VIP待遇のお客様への企画は腕の見せ所
VIP待遇のお客様をお迎えするにあたって、担当者になれば滞りのない企画が必要になりますよね。
こちらでは、VIPのお客様への待遇企画の中で、特に気をつけたいポイントやとイデアを紹介します。
ホテルとの連携
海外からのVIPのお客様をお出迎えする時、宿泊先が必要になります。
この場合だけではなく、社会的にVIPのお客様への対応は、事前にホテル側との打ち合わせすることによって失礼のない待遇でのお出迎えが可能になります。
情報の共有や連絡のスムーズさに加え、お互いに相談しやすい関係を作り上げておくことも大切です。
なぜならVIPのお客様は、ご自分の要望に答えてもらえるという体験に慣れている人が多い傾向があるからです。
普段の接客体験や成功体験が彼らの基準ということもあり、そこに該当しなければがっかりされてしまいます。
接待している担当者の対応と宿泊先のホテルでの情報の食い違いから生まれるトラブルは、絶対に避けておきたい要素ですよね。
宿泊先は海外滞在でとても重要なポイントになるので、必ず連携をとった待遇を取っていきましょう。
最適でくつろげる食事の用意
外国人のVIPのお客様の中には、宗教上の理由で食べられないものがある人もいます。
また、健康上の理由や思想からも食事への配慮が必要になる場合もあるので、個人的にお伺いできないようであれば、周りの方から事前に伺うなど事前に調べることも重要です。
個人的な情報だけではなく、特に文化や習慣は同じ文化圏内でもそれぞれの国で違うので注意が必要です。
お酒がタブーな宗教もありますし、反対に接待にはお酒がないと失礼に当たる国もあるので、事前にお相手の国の文化を熟知しておくことは重要になります。
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外国人接待に必要な各国のビジネスマナーと習慣の理解|11カ国のおもてなしマニュアル
心に残る日本文化体験での接待
相手側(VIP)の訪問中のイベントのうち、会議の議題や内容とは直接関係のないプログラムをソシアル・プログラム(ソシアル・イベント)といいます。
ソシアル・プログラムは参加者の交流、会議の息抜き、主催者(開催地)の歓迎の意を表すために行われる、外務省の接遇でも、日本での開催の場合は日本文化を体験できるような企画が用意されます。
レセプションやバンケット(夕食会)を始め、エキスカーション(会議参加者での小規模なツアー)などが開催され、国賓の来日の際は国のおもてなし企画に注目があつまります。
企業のVIPの方のお出迎えにも、日本文化での接遇は大変喜ばれる企画で、レセプションやバンケットの際にふさわしい催し物として人気があります。
また、実際に自分で体験する異国文化というのは記憶に残り、楽しかった思い出として印象付けることができます。
海外VIPの接待企画について、モテナス日本では随時お客様に寄り添ったオーダーメイドのVIP企画をご用意しています。
海外VIPへの待遇に特化したスタッフがいつでも対応しておりますので、ぜひお気軽にご相談くださいね。
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まとめ
VIPのお客様は特別な対応に慣れているため、上質なサービスが基準になっている傾向になります。
お客様がより快適に過ごしていただけるために、お相手のスケジュールの把握をし、スタッフ全体の連携が必要になります。
また、心に残る待遇をお届けするために、ひとときでも安らぎや楽しさを体験していただけるといいですよね。
VIPのお客様だからこそ、味わっていただきたい上質な待遇で、一期一会の接遇でお出迎えしましょう。

大学卒業後ロイター・ジャパンでSEとして勤務、その後ロイター・シンガポールでシステムマネージャーとして5年間勤務した後、オランダのビジネススクールで経営学を学び、日立製作所に入社。日立では新事業開発を担当し、中国での新事業や新興国での投資スキームを推進。11年間勤務後モテナス日本のサービスを運営開始し「世界と日本をもっと近づける」をモットーとして、日本文化体験を外国人向けに提供している。